Sense of smell 嗅覚
森林の中に歩を進めていくと、緑の匂いを捉え空気が美味しく感じた経験は誰しも持っていることと思います。自然を体内に認めようとして大きな深呼吸をしながら嗅覚を働かせてみると、それらは様々な「匂い」が折り重なりながら自分の体内へ届いていることに気がつきます。
樹木の緑幹
数千種類の地草
土の生命循環
老木の枯渇
ミストの細滴
風が運んでくる幾多の「香り」を意識しながら自然を感じてみると、自分が原始な動物に戻る気がして、生命の強さを客観的に捉えられる様になります。
五感を研ぎすますことは生きる強さを育てるのに繋がります。都会では周囲の環境が、既に個々の感覚を働かさなくても、安心安全がある一定のところより担保されており、生きる者としての危機管理には疎くなってきている部分もあると思われます。
「senseの時代」を生きぬく為には、文明の利器から自ら一度遠ざかり、手放しの自然の中に身を投じてみることで、正に「鼻が効く」ということを体得できるのかもしれません。

Photo: Yuji Kobayashi